昆虫エクスプローラ
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from 園長 園長です。 自分自身の虫探検レポートを、この広場にアップすることはあまりないのですが、今回は、6月以降ずっと気になっていたハゴロモ(の幼虫)の正体が十中八九判明し、しかも、それがかなり珍しい種類だったので、喜び勇んでご紹介させていただきます(かなりの長文、失礼します)。 発端は、今年の6月17日。昔からよく通っているフィールドで、こんなへんてこな幼虫を見つけました。場所は、大阪と奈良の県境を南北に走る生駒山地の、とある開けた尾根。行政区分でいうと、奈良県生駒市にあたります。クリの木をビーティングしてたら落ちてきました。 ハゴロモ類の幼虫であることはすぐに見当がつきました。 でも、いつもよく見かけるアミガサハゴロモやベッコウハゴロモの幼虫とは、かなり雰囲気が違います。とくに、お尻についている、タカラジェンヌの衣裳を彷彿とさせるような見事なロウ物質の飾り物…。 帰ってからいろいろ調べても、さっぱり、正体がわかりません。ツイッターなどに画像を載せても、とくに情報は帰ってきません。 そして、その5日後の6月22日、今度は、大阪府豊能郡の妙見山麓で、またしても。 丈の低い下草上にとまっていました。写真を撮ろうとすると、ジャンプして地表へ。きっと、樹上のどこかから落下してきたのでしょう。 続けざまに、そこそこ離れたふたつの場所での、この奇妙な幼虫との出会い。 どうも気になってしようがないので、最初の出会いから12日後の6月29日、もう一度、生駒山地の同じ場所に出かけてみました。 すると、成長して、さらにタカラジェンヌ感(というか、小林幸子感)が増した件の幼虫が。 この日は、クリとツバキで見つかりました。 今思えば、この姿が、タカラジェンヌ感最高潮の時でした。 さらにその約2週間後、7月11日に再訪したときには、ますます大きく育ちながらも、お尻のステキなものがややしぼんでしまった幼虫を、クリで発見。 大きさはこのとおり。体長5mm超で、アミガサハゴロモなどおなじみのハゴロモたちの幼虫よりも明らかに巨大です。 実はこの時、2頭の幼虫を持ち帰り、飼育してみましたが、うまく育たず、死なせてしまいました。 生駒山地のポイントでは、同じ種類と思われる幼虫を何度も、しかもある程度の数で確認できたので、時期を置いて再探索すれば、羽化した成虫もきっと見つかるはず。そう思って何度か通い、一生懸命、クリの枝を叩いて回りましたが、それらしい姿は一向に見つかりませんでした。 そして、最後の出会いからちょうど2ヶ月が過ぎ、この幼虫たちのこともだんだんと忘れかけていた9月11日のこと。 幼虫を何度も見つけた生駒山地のポイントで、イモムシをさがしてクリの木を物色していた、その時… 見つけてしまいました。 ありえないほど、巨大なハゴロモの姿を! 腹部の下に白いものが見えます。成虫の姿勢からして、どうやら産卵中のようです。翅頂部が欠けているようなので、反対側に回りこんでみると…。 残念ながら、左翅もまったく同じように欠けています。飛翔中に左右の翅が合わさったタイミングで、鳥にでも襲われたのでしょうか。 産卵中であれば、すぐには逃げないと思い、おそるおそる定規で大きさを測ってみました。 翅端までの全長約20mm。 この直後、強烈なジャンプを見せ、一瞬で視界から消え去ってしまい、二度と発見できませんでした。 どうやら、産卵もほぼ終了していたようです。 枝を覆っていた白い綿状物質を取り除いてみると、ベッコウハゴロモなどのそれとよく似た産卵痕が。きっと、この枝の内部に卵が並んでいるのでしょう。 産卵痕と思われる綿状物質は、別のクリでも見つかりました。 ちょっと離れて見るとこんな感じ。 成虫は、今まで見たこともないような巨大ハゴロモで、図鑑にこんなのが載っていた記憶がまったくありません。 帰宅して、いろいろ調べてみたけれど、案の定、迷宮入りです。 ツイッターで発信してみたら、何か情報が得られるかもしれないと思い、成虫と幼虫の画像を並べてつぶやいてみました。 すると、ありがたいことに、@fukkeresu さんから、成虫が、Ricanula quadrimaculata という種類に似ているとの情報が。 早速ググってみると、中国語のこんなページがヒットしました。 http://gaga.biodiv.tw/new23/9401/w21.htm 成虫の姿、そっくりです。幼虫(たぶん中令)も、ほぼ同じです。 国内のページはないのかな、と思いましたが見つかりません。でも、検索結果の上部に「もしかして: Ricania quadrimaculata 」の文字が出ているので、こちらでもサーチしてみたところ、日本語のページが!! 不明ハゴロモ 正体判明!! (←「ピンちゃんのママのブログ」へ) ピンちゃんのママさんが、同じ巨大ハゴロモを、今年の7月に岐阜で発見されていて、なんとそれが、国内3例目とのこと。 「オオシラホシハゴロモ」という和名もちゃんとついているようです。 では、私が生駒山で見つけたのが「4例目」ということになるのでしょうか!? しかし、幼虫も合わせたら、すでに8例目ぐらいまで突っ走ったことになってしまいますが…。 台湾に生息する種類とのことで、このハゴロモもまた、気候温暖化の影響などで、分布を北に広げつつあるのでしょうか。 生駒山のポイントでは、幼虫には何度も出会えたし、加えて、妙見山でも見られたのに、そんなに珍しい種類であるというのがどうもピンときません。 もしかしたら、人知れず、粛々と、すでに分布をかなり広げているのかも。 来年あたり、この巨大ハゴロモが、国内のあちこちで発見されるような気がしてなりません。 日本の左半分にお住まいのみなさん、とくに、関西や岐阜のみなさん、気が向いたら、来年の初夏の頃、クリの木をビーティングしてみてください。 運がよかったら、ステキなタカラジェンヌが落ちてきてくれるかもしれませんよ!
by aakawabe
| 2015-09-18 22:48
| カメムシ・セミ
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Comments(17)
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茜まま
at 2015-09-19 02:09
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大発見のステキなハゴロモを見せていただきありがとうございます!
タカラジェンヌからの小林幸子さん…。幼虫なのになんて華やかな(笑)。 またの発見を楽しみにしています。
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カナポコ
at 2015-09-19 17:18
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わくわく、園長さんが載せるくらいの虫ってなんだろと、夢中で読みました☆
どきどきが止まりませんね、楽しいですね虫って(笑 蝉みたいな顔して、親戚かなくらいに思って読んでいたらなんと5ミリ!!!!何も知らない一般人は、遭遇してもパッパッと手ではらっちゃいそうですね、びっくりしました☆ どこをどうしたらタカラジェンヌがあの成虫になるのか、不思議ですね。 また、レアなやつ載せてください。とても楽しいです☆
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園長
at 2015-09-19 22:06
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茜ままさん、ありがとうございます。イモムシ毛虫も含め、世の幼虫たちは、かわいかったり、奇抜だったりで、あなどれませんよね!
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園長
at 2015-09-19 22:10
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カナポコさん、ありがとうございます。こんなにレアで魅力的な虫はそうそう見つからないので、次回作がいつのことになるやらわかりませんけど、がんばって探します!
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美友
at 2016-05-15 22:08
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私は虫が大っ嫌いなのですが
家に出る虫が誰なのか知りたく 検索していたら此方に辿り着き 未だに虫は嫌いですが 興味津々です。 ハゴロモって幼虫は綺麗ですね。 昆虫探検図鑑が見たくて 仕方ない今日この頃です。
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園長
at 2016-05-16 14:38
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美友さん、虫に無関心な人は見込み少ないけれど、虫が「大っ嫌い」な方は、虫好きに変わる素質十分なのですよ。『昆虫探検図鑑1600』には、見つけたくなる虫がいっぱい載ってますのでぜひ!こちらのページで、どこの図書館に蔵書されているか調べられます。⇒ https://calil.jp/book/4881371738/search?pref=%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E9%83%BD
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chizu
at 2017-06-13 09:34
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スッキリしました。大阪の南の方の知り合いの方のお家にいた虫の写真をみて、昨夜からずっと検索。アオバハゴロモでもないし、、綿虫、雪虫、なんか違う。オオシラホシハゴロモ!そっくり。ありがとうございます!
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@odoroku_tamehorou
at 2020-06-06 16:13
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semi
at 2021-06-15 20:47
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おかざき自然体験の森にて、ちっちゃな白いフワフワの虫を発見。写真をもとに帰宅後、検索したところ、園長先生のブログにて解決し、ホッとしました。2021年6月15日
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ヒマワリ
at 2022-06-10 09:30
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今朝、花壇のヒマワリの葉にふわっとした毛を纏った虫がいたので、慌てて検索したらこちらに辿り着きました。ハゴロモと言うのですね、ありがとうございます。
ちなみにこちらは大阪です。 タカラジェンヌの例えも頷きました(笑)
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nanaの森
at 2022-09-11 12:47
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2022.9.10十五夜の深夜です。
月下美人の満開を期待しつつ観察をしていましたら、膨らみかけの蕾に可愛い白い小花が出現しました。 花が開く時に出る、サインの花かしら?と💦💦💦観察の為、1時間後に見ると小花がありません!えっ? 何と蕾の上を移動しています。 ん?これは?植物ではなく昆虫?! 可愛い姿にドキューン🎶 白い小花の様な虫で検索しましたら此方のサイトで沢山の知識を学べました。 ありがとうございます。 岐阜県可児市の新興住宅地より
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なり
at 2023-06-14 23:39
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千葉県市川市在住です。
庭に見たことのない、白い花を背負っているような虫を発見したので調べてみると、どうやら特徴からは、こちらのオオシラホシハゴロモとだと思われます。 数年間で随分と生息地が拡大しているようですね。
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aakawabe at 2023-06-15 19:04
近年、幼虫がオオシラホシハゴロモに似た外来種(Pochazia shantungensis アミガサハゴロモに近縁)が増えていますので、もしかしたら、そちらかもです。
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ひろえ
at 2023-06-17 00:51
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甲府のパン屋
at 2023-09-05 10:16
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庭のフジさくらの木に動くタカラジェンヌを発見して写真撮影しました.googleレンズで調べても出てきませんでした.
日本中に広がりつつあるのですね.
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生駒市民
at 2023-09-17 11:17
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aakawabe at 2023-09-18 09:52
庭木などには、オオシラホシハゴロモに似た外来種(チュウゴクアミガサハゴロモ)が多いので、そちらかもしれませんね。
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